東北大学大学院工学研究科 土木工学専攻 *
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環境保全工学研究室

教授 李玉友・ 准教授 久保田健吾 ・ 助教 北条俊昌 ・ 技術補佐員 遠藤厚巳

研究室ページ


研究内容

私たちの生活・生産活動により大量の排水や廃棄物が毎日発生し,その適正な処理・処分が問題となっています.本研究室では,環境負荷の低減と循環型社会の形成を目指して,都市環境衛生と水環境保全を支える排水・廃棄物管理システムについて研究しています.現在取り組んでいる主な研究内容は(1)嫌気性バイオテクノロジー:メタン発酵と水素発酵,(2)微生物を用いた排水浄化システムの研究,(3)環境微生物の解析です.

未来型クリーンエネルギー技術の研究: バイオマスからの水素生産(Bio-hydrogen)

bio-hydrogen

水素は燃焼すると水しか発生せず,化石燃料の場合のように地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出がないので,地球環境の保全の観点からも理想的な燃料です.特に,水素は燃料電池をはじめ,化学工業,航空産業など多くの分野において幅広い用途があります.その水素を環境負荷が小さく,持続可能な方法で製造する技術開発は世界の注目を浴びており,本研究室では環境微生物を利用してバイオマスからの水素を取り出す生物学的水素生産プロセスの研究を行っています.

プロセス@では嫌気性水素発酵と光合成水素生成を組み合わせ,バイオマスをまず嫌気性水素生成細菌により水素と有機酸に分解させ,生成した有機酸を光合成細菌により水素まで分解させます.

プロセスAでは嫌気性水素発酵とメタン発酵を組み合わせ,バイオマスをまず嫌気性水素生成細菌により水素と有機酸に分解させ,生成した有機酸をメタン生成細菌によりメタンガスを回収し,そのメタンガスを改質器によって最終的に水素へと変換します.

そこで,本研究室では,嫌気性水素発酵では,バイオマスの発酵条件の検討,水素生成細菌の動態の調査を行い,また,光合成水素生成ではRhodobacter属を用い,この細菌を優占化して保持する環境条件を検討しています.

新世代メタン発酵法によるバイオマスのエネルギー変換: バイオガスコジェネレーション技術の研究

biogas

バイオマスのリサイクル処理技術として高効率メタン発酵(嫌気性消化)技術が注目されています.メタン発酵技術を用いると,食品廃棄物,家畜排泄物,下水汚泥など廃棄物系バイオマスからバイオガス(メタン60〜65%,二酸化炭素35〜40%程度)と有機肥料を生産することができます.得られたバイオガスを用いてコジェネレーション発電を行うことができ,また有機肥料を農地還元することができます.このような技術は循環型社会の構築には必要不可欠なものです.

そこで,本研究室では高効率にバイオマスを回収することを目的とし,前処理技術の開発,メタン発酵プロセスの検討,また菌相解析などにより,メタン発酵を様々な観点から研究しています.

生物学的リン除去とリン資源の回収: Bio-P技術に関する研究

bio-P

リンは食料生産及び一部の工業生産において欠くことのできない物質です.近年,リン資源の有限性が指摘され,また環境中に排出されれば富栄養化など様々な水環境問題を引き起こすことから,排水中に含まれるリンを回収し,再利用することが求められています.

排水からのリン回収方法として,凝集沈殿などの物理化学的手法と,生物学的リン除去法があります.本研究では,リンを効率よく回収するためリン蓄積細菌が嫌気条件で細胞内のリンを放出し,好気条件では放出した以上のリンを過剰摂取すること現象を利用した生物学的手法により高効率のリン除去を行うと同時に,排水中に含まれる低濃度のリンを高濃度に濃縮させ,ヒドロキシアパタイト(HAP)として回収する方法について研究を進めています.


環境微生物の解析: 菌叢解析

PCR etc

環境微生物を用いた環境保全技術の研究を行うためには,微生物の探索とその動態を把握することは必要不可欠です.そのため,従来の培養法のほかに,DNAレベルでの分析手法(FISH法,PCR-DGGE法,Realtime-PCRなど)も取り入れて混合微生物系を解析しています.

有機物が豊富な下水や畜産排水などの嫌気消化汚泥中には1mLあたり108〜1010個もの細菌が生息しており,嫌気性発酵ではさまざまな嫌気性細菌が関与し,それらの共生関係により有機物が酸素のない嫌気的条件で最終的にメタンと二酸化炭素へと分解しています.これまで,嫌気性培養法の進展により,従来困難であった純粋培養,単離がより容易になってきて,数多くの嫌気性細菌が報告されるようになってきています.しかし,この方法では培養期間に時間を要し,また培養法で把握できる微生物種はごく一部にすぎないという欠点もあります.

そこで,近年培養によらない微生物群集解析方法として分子生物学的手法が注目されています.この方法は,遺伝子解析技術を利用した微生物動態解析手法であり,培養を経ずに直接核酸を抽出して解析するため,培養困難な菌にも有効とされています.また,従来ブラックボックスとされていた嫌気性発酵過程において関与する微生物の動態をリアルタイムでモニタリングすることが可能となります.



環境保全 卒業論文タイトル

 
2013
メタン発酵法による缶コーヒー工場廃棄物のエネルギー資源化に関する研究(草谷勇介)
凝集剤添加型嫌気性膜分離法による下水処理の実験的研究(菅生俊樹)
 
2012
インドの都市下水を処理するDHSリアクターの処理性能と処理メカニズムの解明(安斎英悟)
埋め立て地侵出水処理槽内に存在するCandidate phylum TM'の解析(久野真莉子)
膜分離メタン発酵法によるコーヒーかすの資源化処理(高柳和幸)
2011
浸出水処理硝化槽内の微生物群集構造解析及び未培養微生物の分離培養(石川愛弓)
浸漬型嫌気性膜分離法(SAMBR)による都市下水の処理性能(砂庭崇之)
LNA/DNAプローブを用いたFISH法の迅速化(塚越大祐)
2010
実証規模下水処理DHSリアクターの微生物コミュニティー解析(立花真)
インド国下水処理場から発生する余剰汚泥及びバイオガス利用の実態調査(木村快輔)
パームオイル圧搾廃液を処理する嫌気性消化槽の処理性能評価及び微生物群集構造解析(渋谷幸子)
下水処理プロセスにおける温室効果ガス発生特性の研究(佐野慈)
 
 

環境保全 修士論文タイトル

   
 2013
    下水処理施設における温室効果ガス排出量の評価(砂庭崇之) 
 2012
 下水処理施設における温室効果ガス排出量の評価(佐野慈)
 高塩濃度環境下において金属イオンが微生物群集構造に及ぼす影響(渋谷幸子)
 rRNA遺伝子を用いた微生物群集構造解析における23SrRNA遺伝子の有用性評価(白鳥早恵)
 2011
 フェノール廃水処理UASBグラニュール汚泥の微生物叢解析(五十嵐慧)
 浸漬型嫌気性MBRによる都市下水の処理性能評価に関する基礎的研究(高橋慎太郎)
 2010
 微生物コミュニティレベルでみる高級脂肪酸阻害メカニズム(射手園章吾)
 下水処理に伴う温室効果ガス発生に関する研究(鈴木俊輔)
 分子量分角膜を用いた迅速・簡便な新規核酸定量法の開発(竹村泰幸)
 低分子触媒を用いた新規高感度FISH法の開発(長谷川拓也)
 2009
 メタン発酵・無薬注脱水・窒素除去を組み合せた乳牛ふん尿処理システムの実証研究(宇佐見心)
 パームオイル圧搾廃液を処理する嫌気性ラグーンの微生物群集構造解析(川内真)
 DHSリアクターによる無曝気方式の硝化プロセスの開発(服部賢)

環境科学 修士論文タイトル

 2012
 浸漬型膜分離メタン発酵法によるアルコール発酵廃液の処理に関する研究(周 培培)
 Thermophilic hydrogen fermentation from cellulose by mixed-culture(混合培養系によるセルロースの高温水素発酵)(Jiang 紅与)
 Effect of antibiotics on nitrification in wastewater treatment system(排水処理システムの硝化に及ぼす抗生物質の影響)(湯 超)
 2011
 循環式水素・メタン発酵プロセスを用いた生ごみからの水素とメタン回収方法の検討(呉 亜鵬)
 膜分離バイオリアクターを用いた高速メタン生成プロセスの構築(Deng 恒偉)
 高濃度硫酸塩含有廃水の嫌気性処理に関する研究(胡 勇)
 生活排水処理システムからリンを回収する方法の比較検討(皇甫 現玲)
 
 

環境保全 博士論文タイトル

 
 2012
 廃棄物系バイオマス有効利用による地域循環型社会の構築に関する研究(小野寺秀明)
 2010
 メタノール系廃水の嫌気性処理の効率化とグラニュール形成の促進に関する研究(Yan Feng)
 2009
 生物学的脱硫を核とした低コスト型新規バイオメタン生成システムの開発(小林拓朗)
 2006
 濃縮余剰活性汚泥の嫌気性消化特性および前酸化処理による促進効果に関する研究(Sangsan Teepyobon)
 2005
 好気性可溶化処理を組み込んだ生ごみの二相式メタン発酵に関する研究(坂本勝)  abstract
 アルカリ溶出による下水汚泥焼却灰からのリン回収に関する研究(吉田佳子) abstract
 2004
 A Study of Biological Hydrogen Production by Membrane Bioreactor (Dong-Yeol Lee)
 酸生成相に脱窒素機能を持たせたメタン発酵工程に関する研究 (渋谷勝利)

環境科学 博士論文タイトル

 2012
 "Degradation of antibiotics by electrochemical advanced oxidation processes using an activated carbon fiber cathode (繊維状活性炭電極を用いた電気化学促進酸化法による抗生物質の分解)"(Ledezma Estrada Adriana(レデスマ エストラダ アドリアナ))
 2011
 Upgrading of methane fermentation from high solids wastes by controlling trace metals, ammonia, and temperature(微量金属,アンモニアおよび温度の制御による高濃度固形廃棄物のメタン発酵の効率化)("強 虹  (Qiang Hong)")
   
 

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環境水理学研究室名 || 環境水質学研究室